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会社員から転職する人は、前の会社から書類を受け取り、新しい会社に提出するだけです。しかし個人事業主・フリーランスからの転職では、「会社員が当然持っている書類を、自分は持っていない」という状況が頻繁に起きます。
代表的なのが以下の2つです。
これを知らずに転職手続きに臨むと、人事担当者とのやりとりで戸惑うことになります。この記事では「何が必要で、何がなくてもいいのか」を体系的に整理し、スムーズに手続きを進めるための完全ガイドをお届けします。
深掘り!
転職手続きで迷いやすいのは、会社員向けの案内と個人事業主向けの手続きが混在するためです。「転職先へ提出する書類」「自分で行政機関へ出す届出」「確定申告で使う保存書類」の3種類に分けると、提出先の取り違えを防ぎやすくなります。
書類がないこと自体より、理由を説明せず提出期限を過ぎるほうが手続きの遅れにつながります。内定後の早い段階で、人事部へ個人事業主だった期間を共有しておくと安心です。
免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としています。税務・社会保険の手続きは個人の状況により異なります。具体的な判断は税理士・社会保険労務士等の専門家、または所管の行政機関にご確認ください。
編集チームでは、個人事業主から会社員へ転職する際の手続きは、「書類があるか・ないか」だけで判断しないことが重要だと考えています。
同じ書類名でも、過去に会社員経験があるか、事業を廃業するか、入社後も副業を続けるかによって対応が変わります。
まず人事部へ個人事業主だった期間と過去の加入歴を伝え、税務署・市区町村には自分の状況に必要な届出を確認すると、手戻りを減らしやすくなります。
この記事では、提出書類、税務、社会保険を時系列で整理し、自分が次に確認すべき窓口と行動が分かるように解説します。
入社時に会社から求められる主な書類と、個人事業主としての対応方法を一覧にまとめます。
| 書類 | 会社員経験者 | 個人事業主・フリーランス |
|---|---|---|
| 源泉徴収票(前職分) | 前の会社から受け取る | 発行されない →不要であることを伝える |
| 雇用保険被保険者証 | 前の会社から受け取る | 加入していないため存在しない →不要であることを伝える |
| 基礎年金番号を確認できる書類 | 会社の案内に沿って準備 | 会社の案内に沿って準備 |
| マイナンバー確認書類 | 会社の案内に沿って準備 | 会社の案内に沿って準備 |
| 給与振込口座の通帳コピー | 共通 | 共通 |
| 健康保険の資格に関する手続き | 前職の案内に沿って対応 | 市区町村で脱退手続きを確認 |
| 扶養控除等申告書 | 共通(会社が書類を用意) | 共通 |
| 住民税に関する書類 | 普通徴収→特別徴収への切替 | 普通徴収→特別徴収への切替 |
会社ごとに提出書類や期限は異なります。一覧をそのまま正解とせず、内定後に届く案内と照らし合わせ、用意できない書類は早めに人事部へ伝えてください。
入社時の必要書類とあわせて、応募段階で提出する履歴書・職務経歴書も整えておきたい方は、「個人事業主(フリーランス)の履歴書・職務経歴書の書き方!職歴の書き方見本と自己PR例文」に具体例をまとめています。

源泉徴収票は、雇用主が従業員に給与を支払う際に源泉徴収した所得税の証明書です。個人事業主は「雇われていない」ため、給与所得がなく、源泉徴収票は発行されません。
ただし一点注意が必要で、業種によっては「報酬」として源泉徴収されているケースがあります(ライター・デザイナー・士業など)。この場合、クライアントから「支払調書」が交付されることがあります。支払調書は給与の源泉徴収票とは別の書類であり、転職先へ提出する必要があるかは人事担当者へ確認しましょう。
落とし穴!
個人事業主期間の源泉徴収票がない場合でも、その年の前半に別会社から給与を受け取っていれば、その会社の源泉徴収票が必要になることがあります。「個人事業主だったから源泉徴収票はすべて不要」と決めつけると、年末調整や確定申告の確認が遅れます。
「源泉徴収されている報酬」と「給与の源泉徴収票」は別物です。手元の書類名だけで判断せず、誰から何の対価として支払われたかを整理しておくと説明しやすくなります。
転職先の人事担当者から「源泉徴収票を提出してください」と言われた場合、以下のように伝えましょう。
メール・口頭での伝え方の例:
前職は個人事業主として活動しておりましたため、源泉徴収票は発行されておりません。入社後の年末調整につきましては、当該期間の所得は確定申告にて処理する予定です。ご不明な点がございましたらご連絡ください。
まずはこの説明を行い、会社から追加確認や指定書類の案内があれば、それに沿って対応しましょう。
収入や活動実績を確認する別書類を求められた場合は、「確定申告書の控え」や「青色申告決算書」などで対応できるか、人事担当者へ事前に相談してください。
互助会コメント:
源泉徴収票、支払調書、確定申告書は役割が異なります。代わりになりそうな書類を自己判断で送らず、人事担当者が何を確認したいのかを聞いてから提出しましょう。
個人事業主としての活動期間は、通常、雇用保険の被保険者にはなりません。ただし、過去に会社員として雇用保険へ加入していた方は、以前の被保険者番号が残っている場合があります。
過去に会社員経験がある方は、証明書が手元になくても加入歴が残っている可能性があります。個人事業主期間だけを伝えず、以前の勤務歴も人事部へ共有しましょう。
前職は個人事業主(フリーランス)として活動しておりましたため、雇用保険には加入しておらず、雇用保険被保険者証は持っておりません。ご確認の上、適切にご対応いただければ幸いです。
雇用保険被保険者証が手元にない場合でも、過去の加入歴を含めて会社側が確認できることがあります。自己判断で「新規加入」と決めず、過去の会社員経験の有無もあわせて人事担当者へ伝えましょう。
文例はそのまま送るのではなく、個人事業主だった期間や過去の会社員経験に合わせて調整しましょう。追加書類が必要かを質問する一文を添えると、やり取りが進めやすくなります。
転職(入社)に合わせて個人事業を廃業する場合、税務署への「廃業届(個人事業の開廃業等届出書)」の提出が必要です。届出書や手続きの最新情報は、国税庁の個人事業の開業・廃業等届出手続で詳しく案内されています。
入社日と廃業日は必ず同じにするものではありません。未回収の報酬や継続案件がある場合は、事業を終える時点を整理してから届出時期を確認しましょう。
青色申告の承認を受けていた場合は、廃業後に必要となる届出と提出時期を税務署へ確認しましょう。廃業年分の申告方法は、事業の状況や提出済みの届出によって確認が必要です。
廃業届だけで関連手続きがすべて終わるとは限りません。青色申告や消費税など、自分が利用・届出している制度を一覧にして税務署へ確認すると漏れを防げます。
入社日と廃業日が重なる場合、「個人事業主期間の所得」と「給与所得期間」が同じ年に混在することになります。これが後述する「確定申告が必要になる」理由の一つです。
廃業後に入金される売上や支払う経費が残るケースもあります。廃業日だけで区切らず、未回収・未払いの取引を整理して確定申告へ備えましょう。
廃業届だけでなく、開業・社会保険・税金の手続きをまとめて整理したい方は、「退職から個人事業主へ!開業届・社会保険・税金の役所手続き完全ToDoリスト」で届出の全体像をチェックしておきましょう。

年末調整とは、会社が従業員に代わって「1年間の所得税の過不足を精算する手続き」です。通常、12月に在籍している会社が行います。
年末調整へ提出する書類と、確定申告まで保管する書類を分けておくと混乱しにくくなります。不明な書類は提出前に人事部へ用途を確認してください。
転職した年は、以下の2種類の所得が混在します。
年末調整でできること: 転職後の「給与所得」部分の税精算のみ。
年末調整ではできないこと: 個人事業主期間の「事業所得」の精算。これは確定申告で行う必要があります。
つまり、転職した年に事業所得など年末調整の対象外となる所得がある場合は、確定申告の要否を確認する必要があります。
ワンポイント!
転職した年は、事業の売上・経費と転職後の給与を月別に並べ、どの書類を年末調整に使い、どの情報を確定申告に使うのかを分けておくと整理しやすくなります。混在したまま年末を迎えると、必要書類の探し直しにつながります。
転職した年は給与と事業の情報が混ざりやすいため、月別に収入の種類と証憑を整理しておくのが有効です。年末になってから分け直す負担を減らせます。
年末調整の書類(扶養控除等申告書など)は通常通り提出してください。その際、以下のように一言添えると親切です。
今年は個人事業主として活動していた期間があるため、年末調整とは別に確定申告を行う予定です。
会社側の年末調整は「給与所得分」のみ処理してもらい、個人の確定申告で「事業所得分」を合算して申告します。
人事部は個人の事業所得を確定申告する立場ではありません。年末調整で会社に依頼する範囲と、自分で申告する範囲を分けて相談しましょう。
以下のいずれかに該当する場合、確定申告が必要です。
該当状況を確認しましょう:
確定申告が不要になる可能性があるケース(例外):
申告要否を判断する際は、「売上」ではなく必要経費を差し引いた所得や給与の状況も確認します。迷う場合は、書類をそろえたうえで税務署へ相談すると話が早くなります。
個人事業主期間の収入(売上)と経費を集計します。
入社した会社から受け取る「源泉徴収票」に記載された給与所得・源泉徴収税額を確認します。
国税庁の確定申告書等作成コーナーから申告書を作成できます。事業所得と給与所得を申告する場合は、手元の証憑と源泉徴収票を確認しながら入力しましょう。
所得税の合計が、源泉徴収済みの税額より多ければ「納税」、少なければ「還付」が発生します。個人事業主時代に国民健康保険料や小規模企業共済の掛金を支払っていた場合、要件を満たせば該当する控除を申告でき、計算結果によっては還付になる場合があります。
互助会コメント:
確定申告の要否は、売上の有無だけでなく所得や控除、給与の状況によって変わります。判断に迷う場合は、申告期限の直前ではなく早めに税務署などへ相談するのが現実的です。
転職後に個人事業を完全に廃業し、副業など年末調整の対象外となる所得や控除の申告がなければ、翌年以降は会社の年末調整のみで完結するケースが一般的です。
ただし、以下のケースでは翌年以降も確定申告が必要になることがあります。
翌年に事業収入がなくても、前年分の入金や経費、控除の申告が残っていないかは確認が必要です。「廃業したから申告不要」と早めに決めつけないようにしましょう。
個人事業主期間中に国民健康保険・国民年金などへ加入していた場合は、転職(入社)に伴う切り替えや脱退手続きの確認が必要です。
会社側でやること(基本的に会社が手続きしてくれる):
自分でやること:
会社が行う手続きと、自分で市区町村へ届ける手続きを分けて確認してください。会社の保険へ加入しただけで、以前の保険の脱退まで完了したと思い込まないことが大切です。
国民健康保険料は「月単位」で計算されます。入社月については、以下の点を確認しましょう。
互助会コメント:
会社側の加入手続きが済んでも、国民健康保険の脱退が自動で完了するとは限りません。資格取得日と市区町村で必要な手続きを確認し、納付書が届き続けていないかも見ておきましょう。
国民健康保険や国民年金と、会社員の社会保険で保障がどう変わるか知りたい方は、「個人事業主は社会保険に加入できない?会社員との「保障格差」と、独立後に後悔しないための防衛策」が役立ちます。

個人事業主は住民税を「普通徴収」(自分で年4回に分けて納付)で支払っていましたが、会社員になると「特別徴収」(給与から毎月天引き)に変わります。
転職のタイミングによって、以下のように処理が分かれます。
| タイミング | 住民税の扱い |
|---|---|
| 転職した年度 | 普通徴収の納付書を使い続けるか、会社で特別徴収へ切り替えられるかを確認 |
| 翌年度以降 | 勤務先で特別徴収されるのが一般的。通知内容を確認 |
会社の人事部から「住民税の徴収方法について」確認が来た場合、「前職が個人事業主であったため普通徴収でした」と伝えれば、適切に対応してもらえます。
普通徴収の納付書が残っている場合は、会社で切り替え可能か確認しましょう。切り替えが完了するまでは、手元の納期限を見落とさないよう注意が必要です。
内定後は入社準備を優先しがちですが、事業の未回収報酬や契約終了連絡も残ります。仕事関係と行政手続きを別々に一覧化すると、対応漏れを見つけやすくなります。
用意できない書類がある場合は、提出期限を過ぎる前に理由を伝えましょう。代替書類を勝手に選ばず、会社が必要としている確認内容を聞くのが近道です。
入社直後は案内が集中します。会社から届く資格情報と市区町村で必要な手続きを照合し、提出済み・確認中・未対応に分けて管理しましょう。
年末調整の締切は会社ごとに設定されます。確定申告する予定でも、会社から求められた年末調整書類は期限と記入方法を確認して提出しましょう。
確定申告の受付期間や必要書類は毎年公式情報で確認してください。期限直前は相談窓口が混みやすいため、不明点を早めに洗い出しておくと安心です。
個人事業主からの転職で最も混乱しやすい手続き周りを、一記事にまとめました。要点を再整理します。
手続きの多さに圧倒されるかもしれませんが、一つひとつは難しくありません。チェックリストを使って、抜け漏れなく進めましょう。
互助会の結論:
個人事業主から会社員へ転職する際は、持っていない書類を無理に用意するのではなく、個人事業主だった期間と過去の加入歴を人事部へ正確に伝えることが出発点です。税務・社会保険は状況によって必要な手続きが変わるため、一覧を使って提出先と期限を確認し、分からない点は各窓口へ早めに相談しましょう。
補足情報
税務・社会保険・住民税の届出方法や期限は、制度改正や自治体の運用によって変わる場合があります。実際に手続きを進める際は、転職先の人事部、税務署、市区町村などの最新案内を確認してください。
個人事業主として活動していたため給与の源泉徴収票が発行されていないことを、人事担当者へ伝えます。過去に別会社から給与を受け取った期間がある場合は、その会社の源泉徴収票が必要か確認しましょう。
過去に会社員として雇用保険へ加入していた場合は、以前の被保険者番号が残っていることがあります。自己判断せず、会社員経験の有無を人事担当者へ伝えて確認してもらいましょう。
必ずとは限りません。事業所得など年末調整の対象外となる所得や、申告したい控除の有無によって変わるため、自分の状況に応じて要否を確認してください。
勤務先の健康保険へ加入しても、国民健康保険の脱退手続きが別途必要となる場合があります。市区町村の案内で期限と必要書類を確認しましょう。
事業を継続する場合は、廃業届を出す前に事業の実態と勤務先の副業ルールを整理する必要があります。届出や申告方法に迷う場合は、税務署などへ確認してください。




