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個人事業主は社会保険に入れない?会社員との保障格差と自衛策ガイド

会社員から独立したばかりの人が最初に戸惑うのが、「社会保険どうなるの?」という点です。結論からいえば、個人事業主本人は会社員のように社会保険(健康保険+厚生年金)に加入することはできません。
手続きを間違えると「無保険期間」ができたり、知識不足のまま独立して「怪我をして収入ゼロ」という最悪のケースに陥ることもあります。
この記事では、数多くの個人事業主を支援してきた初東互助会が、「社会保険の切り替えルール」だけでなく、会社員時代とのギャップを埋めるための「具体的な防衛策」について解説します。
編集チームでは、個人事業主の社会保険は「加入できるかどうか」だけでなく、会社員時代に自動で守られていた部分がどこまで自分管理に変わるのかを見ることが大切だと考えています。
特に、退職直後の健康保険の切り替え、国民年金の手続き、働けなくなったときの収入対策は、後回しにすると生活費に直接響きやすい部分です。
一方で、制度を一つずつ整理すれば、任意継続・国保・扶養・国保組合・iDeCo・小規模企業共済など、選べる対策もあります。
この記事では、個人事業主が会社の社会保険に入れない理由と、独立後に自分で整えるべき守り方を整理し、自分に合う判断ができるように解説します。
- 制度の対象者と判定基準を分けて確認する
- 期限・費用・保障の不足を事前に見積もる
- 迷う条件は公式窓口へ質問し、回答を記録する
個人事業主本人が「会社の社会保険(健康保険・厚生年金)」に加入できない理由

社会保険とは本来、企業と従業員の雇用関係を前提にした制度です。健康保険・厚生年金保険は「適用事業所」に雇用されている労働者が対象となるため、雇用主である個人事業主本人は原則加入できません。
個人事業主の社会保険で不安が生まれやすいのは、会社が給与天引きや保険手続きをまとめて担っていた状態から、本人が期限・保険料・不足する保障を管理する状態に変わるためです。制度の名前だけでなく、「誰が手続きし、誰が負担し、何が補償されないのか」を分けて見ると整理しやすくなります。
| 加入可否 | 保険種別 | 対象者 |
|---|---|---|
| × | 健康保険(協会けんぽ・組合健保) | 雇用されている会社員 |
| × | 厚生年金 | 会社員・公務員 |
| 〇 | 国民健康保険 | 自営業・フリーランス |
| 〇 | 国民年金 | すべての20歳以上60歳未満の国民 |
| 〇 | 介護保険(40歳~) | 国保加入者・被保険者 |
つまり、独立した瞬間に「会社経由の社会保険」から外れ、自分で公的保険に入り直す必要が生じます。
【ここが最初の分かれ道です】
多くの方が「手続きが面倒で、ここで挫折しそう…」と感じますが、これは個人事業主として活動するための『最初の試練』であり、避けて通れない道です。しかし安心してください!これらをすべて暗記する必要はありません。
複雑に見えますが、やるべきことは決まっています。
「A4用紙」などに書き出してタスク化し、一つずつ消し込んでいけば必ず終わります。この手続きは頻繁に行うものではありません。一度流れを作ってしまえば、あとは本業に集中できる環境が整います。
「今はビジネスの地盤を固めるフェーズなんだ」と割り切って、感情を挟まず淡々と進めていきましょう。
独立直後は、保険証の切り替えだけで安心しがちですが、本当に見るべきなのは「会社員時代に自動で付いていた保障が何に置き換わるか」です。国保と国民年金に入るだけで終わらせず、働けない期間の収入や老後資金までセットで考えておきましょう。
| 制度 | 主な対象 | 個人事業主本人 |
|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金 | 雇用される労働者 | 原則対象外 |
| 国民健康保険 | 自営業・フリーランス | 自分で加入 |
| 国民年金 | 20歳以上60歳未満など | 自分で納付 |
加入先と保障内容を分けて考える。会社の社会保険へ入れないことと、公的な医療・年金制度がないことは別です。退職日の翌日から、加入先、手続き期限、働けない期間の備えを順に確認します。
【リスク整理】会社員と個人事業主にある「3つの公的保障格差」

制度上の「加入できない」は理解できたと思いますが、現場で問題になるのはその「中身」です。単に保険証が変わるだけでなく、いざという時の「保障」は驚くほど薄くなります。
- 「傷病手当金」がない(怪我=即収入ゼロ)
会社員なら病気や怪我で休んでも給与の約2/3が補償されますが、国保にはこの制度がありません。特に、体が資本である軽貨物ドライバーや建設業の方にとって、交通事故や入院は「生活費の減額」に直結します。
- 「厚生年金」がない(老後資金が半減)
個人事業主の「国民年金」は、満額でも月額約6万9,308円(令和7年度)です。令和7年度の年金額は、厚生労働省の制度変更情報でも詳しく解説されています。会社員のような上乗せがないため、老後の備えは「自助努力」が必須です。
- 保険料が「全額自己負担」になる
会社員時代は会社が半分払ってくれていましたが、これからは全額自分持ちです。「売上は上がったのに、手取りが減った」とならないよう注意が必要です。
【担当者の現場コラム】「もっと早く知りたかった」という悲鳴
初東互助会には、独立して2年目の個人事業主の方からよくこんな相談が寄せられます。
「1年目は売上が少なくて税金も安かったのに、2年目になって住民税と国保の通知を見て震えました。月5万円近くも飛んでいくなんて計算に入れていませんでした…」
「将来が不安です。年金や健康保険を甘くみてました。どうしたらこの不安はなくなりますか?」
会社員時代は給与天引きで気づきにくいですが、独立するとこの負担が「手取り」を直撃します。「知らなかった」では済まされない社会保険の現実、この記事で紹介する防衛策は、決して他人事ではありません。
しかし、怖がる必要はないです。
少しずつでも良いので、制度を理解して進めていきましょう。中には、会社員時代よりも収入が上がり、その分をNISAなどの積立投資に回し、「会社員時代よりも今のほうが、老後の資産形成が順調に進んでいる」という個人事業主の方も実際にいらっしゃいます。
彼らに共通しているのは、社会保険を「見えない敵」にするのではなく、「コントロールできる経費」として扱っている点です。
不安を消す唯一の方法は、正しく知ること。まずはここからの解説で、あなたの「守り」を一緒に固めていきましょう。
保障格差は、知った瞬間が一番不安に感じやすい部分です。ただ、差があることを把握できれば、労災の特別加入、所得補償、年金の上乗せなど、打てる対策も見えてきます。怖がるよりも、足りない保障を一つずつ埋める視点が大切です。
業務委託で働く場合の税金や保険、会社との契約関係まで含めて不安を整理したい方は、「業務委託の軽貨物ドライバーはやばい?実態と「やめとけ」と言われる会社の裏事情」で詳しく整理しています。
| 比較項目 | 会社員 | 個人事業主 |
|---|---|---|
| 医療 | 健康保険 | 国民健康保険など |
| 休業時 | 傷病手当金の対象になり得る | 制度・契約により自分で備える |
| 老後 | 厚生年金の上乗せ | 国民年金+自助設計 |
| 負担 | 事業主負担がある | 原則自分で管理 |
社会保険に入れない個人事業主が加入する公的制度(国保・国民年金)

個人事業主は以下の3つを基本として、自身で加入・管理します。
① 国民健康保険
市区町村が運営する医療保険制度。
病気やケガの際の医療費を3割負担で受けられます。前年の所得をもとに保険料が算出され、自治体によって差があります。
- 手続き:退職翌日から14日以内に市区町村で加入申請
- 負担軽減:所得が低い場合や子育て世帯には減免措置あり
国保は自治体ごとに保険料が変わるため、周囲の人の金額をそのまま当てはめないほうが安全です。独立前に自分の前年所得で試算しておくと、初年度の資金計画が立てやすくなります。
② 国民年金
老後の基礎年金。厚生年金と違い、全国一律の定額制(令和7年度:月額17,510円)。付加年金や国民年金基金、小規模企業共済などで上乗せが可能です。
国民年金は将来の土台になる制度ですが、会社員時代の厚生年金とは受け取れる範囲が違います。付加年金やiDeCoなどを検討する場合も、まずは毎月の固定費として続けられるかを見ることが大切です。
③ 介護保険(40歳以上)
40歳になると自動的に介護保険料が国保と一緒に徴収されます。
要介護時のデイサービスや施設利用が対象。
【ここだけは押さえてください】
名前は似ていますが、「誰が守ってくれるか」が変わります。
– 健康保険 ⇨ 国民健康保険
– 厚生年金 ⇨ 国民年金
会社員時代のように「会社と折半」ではなくなるため、同じ保障内容だと思っていると痛い目を見ます。まずは「名前が変わり、守りが薄くなる分、自分で補強する必要がある」と認識することから始めましょう。
特に「年金」は要注意!
会社員時代の「2階建て(基礎+厚生)」から「1階建て(基礎のみ)」になるため、将来の受給額が大きく変わります。
国民健康保険・国民年金・介護保険は、独立後の土台になる制度です。まずは公的制度で最低限の守りを整え、そのうえで足りない部分を民間保険や共済、上乗せ年金で補う順番にすると、固定費を増やしすぎずに設計しやすくなります。
退職後の基本は、国民健康保険と国民年金です。任意継続や配偶者の扶養、業種に合う国保組合を選べる場合もあります。保険料だけでなく、給付、家族の扱い、期限を同じ表に並べてください。
業種別の国民健康保険組合を探したい場合は、全国の国民健康保険組合一覧候補と確認先を一覧で確認できます。
傷病・働けないリスクを埋める「所得補償・民間保険・共済」の選び方

公的保障が薄い個人事業主は、自分で「盾」を用意する必要があります。支援団体の立場から、これだけは入っておくべき3つの対策を紹介します。
1. 労災保険への「特別加入」
通常、個人事業主は労災(労働保険)に入れませんが、運送業や建設業などは「特別加入制度」を使えば加入できます。月額数千円〜の負担で、仕事中の怪我の治療費が無料になり、休業補償も出ます。現場に出る方は検討優先度が高い対策です。
2. 民間の「所得補償保険」や「共済」
病気や怪我での長期入院に備え、民間の保険や共済制度などで、働けない期間の収入を確保しましょう。医療保険(入院1日1万円)よりも、生活費をカバーする「就業不能保険」タイプがおすすめです。
3. 業種によっては「組合国保」を選ぶ
建設業の「建設国保」や、クリエイターの「文芸美術国保」など、業種ごとの組合に入れる場合は、保険料が定額で安くなるケースがあります。
ご自身の職業で加入できる組合がないか、全国の国民健康保険組合一覧から探してみてください。
防衛策は、全部を一度に入れる必要はありません。仕事中のケガ、病気で働けない期間、老後資金の不足など、自分にとって生活への影響が大きい順に優先順位を付けると、無理のない固定費で備えやすくなります。
病気やけがで働けない期間を埋める
国保に傷病手当金が常に付くとは限らないため、生活費と事業固定費を分けて必要保障額を考えます。就業不能保険、所得補償保険、共済などは、免責期間、給付期間、精神疾患の扱い、更新条件を確認します.
保険料だけで選ばない。入院給付があっても、売上の減少や固定費まで埋まるとは限りません。いつから、どの状態で、いくら、いつまで給付されるかを約款で確認します。
医療費負担を抑える「国民健康保険組合(国保組合)」の活用条件

国保組合は加入条件の確認が先
建設・医療・文芸美術など、業種や地域によって国保組合を検討できる場合があります。ただし、名称が見つかっただけで加入できるとは限りません。職種、住所、所属団体、家族の扱いを窓口へ確認します.
将来の年金不足を補う自前の年金設計(付加年金・基金・iDeCo)
| 制度 | 役割 | 確認点 |
|---|---|---|
| 付加年金 | 国民年金への上乗せ | 第1号被保険者などの要件 |
| 国民年金基金 | 年金を上乗せ | iDeCoとの掛金合算 |
| iDeCo | 老後資産を運用 | 原則60歳まで受取不可 |
| 小規模企業共済 | 廃業・退職時の資金 | 加入資格・受取事由 |
iDeCoや小規模企業共済まで含めた資産形成は、個人事業主・フリーランスの節税対策!iDeCoと小規模企業共済の賢い組み合わせ方別記事で掛金と資金拘束を比較しています。
どうしても社会保険へ加入したい場合の「マイクロ法人」活用の現実度
基本的に個人事業主は社会保険に加入できませんが、唯一の例外とも言える方法が「マイクロ法人」の設立です。自分の事業の一部を法人化し、自分自身がその会社の「役員」として社会保険に加入する方法です。
- メリット:
個人事業主としての所得が多い場合でも、法人側の役員報酬の設計によっては、社会保険料を抑えられるケースがあります。ただし、金額は報酬設定や地域、扶養の有無などで変わります。
- デメリット:
法人設立費用や、決算の税理士費が上がる。
【ここがポイント】
目安として、課税所得が500万円〜600万円を超えてくると、税理士費用を払ってでもマイクロ法人を作ったほうが手元に残るお金が多くなるケースが増えます。
「売上が伸びて国保・年金が高すぎる!」と悩んでいる方は、一度税理士にシミュレーションを依頼してみましょう。
マイクロ法人は有効な選択肢になる場合がありますが、設立費用や経理の手間も増えます。保険料だけで判断せず、税理士費用や事務負担まで含めて比較することが大切です。
マイクロ法人を設立して役員報酬を受ける方法は、社会保険の対象になり得る一方、法人設立・会計・申告・維持費が発生します。保険料だけでなく、法人と個人事業の業務区分、報酬設定、実際の勤務実態を専門家へ確認してください。
節税目的だけで設立しない。加入できるか、負担が下がるか、事務コストを含めて有利かは個別判断です。課税所得の目安だけで結論を出さず、複数年の試算を行います。
独立後の公的保障不足をカバーする防衛チェックリスト
- 退職前に健康保険の選択肢と期限を確認する
- 退職後14日以内の国保・年金手続きを予定する
- 働けない期間の生活費と固定費を試算する
- 年金・共済・保険の掛金を無理なく設計する
- 従業員を雇う場合は雇用主側の加入義務を確認する
会社員時代の保障を一度に完全再現する必要はありません。医療、休業、老後、事業継続の4項目に分け、空白が大きいものから一つずつ埋めます。 対象条件、期限、費用、必要書類を一枚に整理し、迷う点は公式窓口へ確認した記録を残してから実行しましょう。 回答日と担当窓口も記録し、制度改正や収入の変化があった時点で見直してください。
防衛策を点検する順番
医療費、働けない期間、老後、事業継続の順に空白を探します。保険料だけでなく、給付開始までの期間と条件をメモし、年1回見直せる形にしておくと管理しやすくなります。
退職前に決めること
任意継続・国保・扶養の候補、退職後の期限、最初の納付資金を一枚に整理します。迷う項目は加入先の窓口へ確認し、回答日と担当部署を残します。
退職後の手続き期限を時系列で確認する場合は、退職から個人事業主へ!開業届・社会保険・税金の役所手続き完全ToDoリスト専用のToDoリストへ分けて確認できます。
配偶者の扶養に入れる条件を確認する場合は、個人事業主が配偶者の扶養に入る条件!健康保険と税金の落とし穴を徹底解説判定基準の違いを別記事で整理しています。
まとめ|個人事業主は公的保障の薄さを自前のセーフティネットで補おう
制度の数字だけで判断せず、対象者、見込み収入、経費、期限、窓口を一つずつ確認することが、独立後の手続き漏れや保障の空白を防ぎます。
個人事業主の社会保険・保障格差に関するよくある質問(Q&A)
- 個人事業主本人は会社の社会保険に入れませんか?
-
雇用される労働者を対象とする健康保険・厚生年金に、個人事業主本人が事業主として加入することは原則できません。国保・国民年金などを自分で選びます。
- 国民健康保険に傷病手当金はありますか?
-
自治体国保に会社員と同じ傷病手当金が常にあるとは限りません。加入先の給付と、民間保険・共済を確認します。
- マイクロ法人なら必ず保険料が下がりますか?
-
必ず下がるわけではありません。法人の維持費や事務負担、役員報酬、実態を含めて個別に試算します。
- 任意継続はいつまで申請できますか?
-
一般に資格喪失日から20日以内が期限です。加入していた健康保険の最新案内で確認してください。
- 従業員を雇うと自分も社会保険に入れますか?
-
従業員の加入義務と個人事業主本人の加入可否は別です。本人の保障は別の制度設計が必要です。



