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会社員から独立したばかりの人が最初に戸惑うのが、「社会保険どうなるの?」という点です。結論からいえば、個人事業主本人は会社員のように社会保険(健康保険+厚生年金)に加入することはできません。
手続きを間違えると「無保険期間」ができたり、知識不足のまま独立して「怪我をして収入ゼロ」という最悪のケースに陥ることもあります。
この記事では、数多くの個人事業主を支援してきた初東互助会が、「社会保険の切り替えルール」だけでなく、会社員時代とのギャップを埋めるための「具体的な防衛策」について解説します。
社会保険とは本来、企業と従業員の雇用関係を前提にした制度です。健康保険・厚生年金保険は「適用事業所」に雇用されている労働者が対象となるため、雇用主である個人事業主本人は原則加入できません。
| 加入可否 | 保険種別 | 対象者 |
|---|---|---|
| × | 健康保険(協会けんぽ・組合健保) | 雇用されている会社員 |
| × | 厚生年金 | 会社員・公務員 |
| 〇 | 国民健康保険 | 自営業・フリーランス |
| 〇 | 国民年金 | すべての20歳以上60歳未満の国民 |
| 〇 | 介護保険(40歳~) | 国保加入者・被保険者 |
つまり、独立した瞬間に「会社経由の社会保険」から外れ、自分で公的保険に入り直す必要が生じます。
【ここが最初の分かれ道です】
多くの方が「手続きが面倒で、ここで挫折しそう…」と感じますが、これは個人事業主として活動するための『最初の試練』であり、避けて通れない道です。
しかし安心してください!これらをすべて暗記する必要はありません。
複雑に見えますが、やるべきことは決まっています。
「A4用紙」などに書き出してタスク化し、一つずつ消し込んでいけば必ず終わります。この手続きは頻繁に行うものではありません。一度流れを作ってしまえば、あとは本業に集中できる環境が整います。
「今はビジネスの地盤を固めるフェーズなんだ」と割り切って、感情を挟まず淡々と進めていきましょう。
制度上の「加入できない」は理解できたと思いますが、現場で問題になるのはその「中身」です。単に保険証が変わるだけでなく、いざという時の「保障」は驚くほど薄くなります。
初東互助会には、独立して2年目の個人事業主の方からよくこんな相談が寄せられます。
「1年目は売上が少なくて税金も安かったのに、2年目になって住民税と国保の通知を見て震えました。月5万円近くも飛んでいくなんて計算に入れていませんでした…」
「将来が不安です。年金や健康保険を甘くみてました。どうしたらこの不安はなくなりますか?」
会社員時代は給与天引きで気づきにくいですが、独立するとこの負担が「手取り」を直撃します。「知らなかった」では済まされない社会保険の現実、この記事で紹介する防衛策は、決して他人事ではありません。
しかし、怖がる必要はないです。
少しずつでも良いので、制度を理解して進めていきましょう。中には、会社員時代よりも収入が上がり、その分をNISAなどの積立投資に回し、「会社員時代よりも今のほうが、老後の資産形成が順調に進んでいる」という個人事業主の方も実際にいらっしゃいます。
彼らに共通しているのは、社会保険を「見えない敵」にするのではなく、「コントロールできる経費」として扱っている点です。
不安を消す唯一の方法は、正しく知ること。まずはここからの解説で、あなたの「守り」を一緒に固めていきましょう。
個人事業主は以下の3つを基本として、自身で加入・管理します。
市区町村が運営する医療保険制度。
病気やケガの際の医療費を3割負担で受けられます。前年の所得をもとに保険料が算出され、自治体によって差があります。
老後の基礎年金。厚生年金と違い、全国一律の定額制(令和7年度:月額17,510円)。付加年金や国民年金基金、小規模企業共済などで上乗せが可能です。
40歳になると自動的に介護保険料が国保と一緒に徴収されます。
要介護時のデイサービスや施設利用が対象。
【ここだけは押さえてください】
名前は似ていますが、「誰が守ってくれるか」が変わります。
会社員時代のように「会社と折半」ではなくなるため、同じ保障内容だと思っていると痛い目を見ます。まずは「名前が変わり、守りが薄くなる分、自分で補強する必要がある」と認識することから始めましょう。
特に「年金」は要注意!
会社員時代の「2階建て(基礎+厚生)」から「1階建て(基礎のみ)」になるため、将来の受給額が大きく変わります。
実際にどれくらいの負担になるのか、当記事監修者(FP)の視点で、個人事業主(30代・東京・独身)をモデルに試算しました。
■売上600万・経費100万(所得500万)の場合
※お住まいの自治体により金額は変動します。
毎月約5〜6万円が保険料として消えていく計算です。しかし、支払いはこれだけではありません。ここからさらに「4つの税金」が追いかけてきます。
この「見えないコスト」を考慮せずに売上を使ってしまうと、翌年の納税時期に資金ショートしてしまいます。単価交渉や売上目標は、これらを含めて設定する必要があります。
【でも、怖がる必要はありません】
税金や社会保険料は高いですが、個人事業主には会社員にはない強力な武器もあります。
ふるさと納税や小規模企業共済、iDeCo(イデコ)などを活用すれば、「将来の自分への仕送り(貯金)」をしながら、今の税金を合法的に安くすることができます。
税金は単なるコストではなく、知識があれば「資産に変えられる」もの。そう思考を切り替えて、賢く対策を行えば手取りは確実に守れます。
基本的に個人事業主は社会保険に加入できませんが、唯一の例外とも言える方法が「マイクロ法人」の設立です。自分の事業の一部を法人化し、自分自身がその会社の「役員」として社会保険に加入する方法です。
【ここがポイント】
目安として、課税所得が500万円〜600万円を超えてくると、税理士費用を払ってでもマイクロ法人を作ったほうが手元に残るお金が多くなるケースが増えます。「売上が伸びて国保・年金が高すぎる!」と悩んでいる方は、一度税理士にシミュレーションを依頼してみましょう。
退職前に加入していた健康保険を、最長2年間だけ個人で継続できる制度です。保険料は会社負担分がなくなるため、実質2倍前後に跳ね上がる点に注意。ただし所得が高い人や扶養家族が多い人にとっては、国保より安くなるケースもあります。
手続き期限:退職日の翌日から20日以内
配偶者が会社員などで社会保険に加入している場合、自分の年収が130万円未満(条件によって106万円未満)であれば、その扶養に入れる可能性があります。保険料がゼロになる大きなメリットがある一方、収入が増えると即座に扶養から外れる点には注意が必要です。
個人事業主本人は加入できませんが、従業員を常時5人以上雇用した場合は、その事業所が「適用事業所」となり、社会保険(健康保険・厚生年金)の加入が義務化されます。ただし、サービス業・農林漁業など一部業種は除外されるため、該当業種かどうかは日本年金機構の基準を確認しましょう。
公的保障が薄い個人事業主は、自分で「盾」を用意する必要があります。支援団体の立場から、これだけは入っておくべき3つの対策を紹介します。
1. 労災保険への「特別加入」
通常、個人事業主は労災(労働保険)に入れませんが、運送業や建設業などは「特別加入制度」を使えば加入できます。月額数千円〜の負担で、仕事中の怪我の治療費が無料になり、休業補償も出ます。現場に出る方は加入必須レベルです。
2. 民間の「所得補償保険」や「共済」
病気や怪我での長期入院に備え、民間の保険や共済制度などで、働けない期間の収入を確保しましょう。医療保険(入院1日1万円)よりも、生活費をカバーする「就業不能保険」タイプがおすすめです。
3. 業種によっては「組合国保」を選ぶ
建設業の「建設国保」や、クリエイターの「文芸美術国保」など、業種ごとの組合に入れる場合は、保険料が定額で安くなるケースがあります。
ご自身の職業で加入できる組合がないか、当サイトでまとめた全国の国民健康保険組合一覧から探してみてください。

ここからは、実際に個人事業主・フリーランスの方から日々相談を受けている当会の経験をもとに、「会社員から独立する人が社会保険で損をしないためのロードマップ」を整理しました。

辞めてから慌てないよう、会社にいるうちに以下の数字を確認します。
この時点で決めたいこと
退職直後は「A:任意継続」「B:国保」「C:扶養」のどれを第一候補にするか、仮決めしておきましょう。
退職したら、期限との勝負です。
初東互助会としてのポイント
独立初年度は「前年の会社員年収」を基準に国保が計算されるため、保険料が高く感じやすい時期です。この段階で不安になって高額な民間保険に入りすぎるのはNG。まずは公的な減免や選択肢を整理することを優先してください。
独立後しばらく経ち、売上が安定してきたら「長期の設計」に入ります。
ここでの注意点
「とりあえずいろいろ入る」のではなく、①公的制度を前提に、②固定費として無理のない範囲で、③税制メリット(控除)も含めて設計すること。当会への相談でも“勢いで保険に入りすぎて、資金繰りが苦しい”というケースが少なくありません。
従業員を雇っても、個人事業主本人(経営者)は加入できません。あくまで「従業員のため」の加入となります。ただし、本人がその事業所とは別に法人を設立し、その役員となる場合は加入可能です。
向こう1年間の収入見込みが130万円未満であれば入れますが、個人事業主の場合は「売上 – 必要経費」が130万円未満かどうかで判断されることが多いです(加入している健保組合によって基準が異なるため確認が必要です)。
職種によっては安くなる可能性があります。所得に関係なく保険料が定額の組合が多いため、所得が高い個人事業主ほど自治体の国保より有利になります。Webデザイナーやライター、建設業などは一度加入条件を確認してみましょう。
個人事業主は会社の社会保険には加入できません。しかし、自分で選べる「国保」「国民年金」「国保組合」「任意継続」「扶養」など複数の制度が存在します。
独立後は“自分で社会保険を設計する”という意識が大切です。特に、14日・20日の期限を逃さず手続きを行うことなど見逃すと後で損するポイントが増えます。
ここら辺を理解し、最善の手を打つことが最初の1年を安定させる大きな分かれ道になります。




