報酬減額とは?フリーランス法で禁止される行為の意味

業務委託取引においてフリーランスを保護するため、法令によって発注側の不当な行為が制限されています。報酬減額とは、一定期間以上の業務委託において、特定受託事業者の責めに帰すべき事由がないにもかかわらず、発注時に定めた報酬の額を事後に減ずる行為のことです。本記事では、この報酬減額という用語が制度上どのように定義され、どのような境界を持つのかに絞って説明します。

初東互助会 編集チーム
作成者
眞中 秀和
監修者
目次

報酬減額の定義と制度上の位置づけ

報酬減額は、あらかじめ発注時に確定させた対価を、受託者の落ち度がないにもかかわらず発注側の都合などで後から引き下げることを禁じる制度上の規律です。フリーランス・事業者間取引適正化等法第五条第一項第二号において、特定業務委託事業者が遵守すべき禁止行為の一つとして明記されています。この規定はすべての取引に無条件で適用されるわけではなく、政令で定める期間である一か月以上の業務委託を行っていることが基本的な適用前提となります。

発注時の対価設定を問題とする買いたたきとは異なり、報酬減額は発注時に決めた報酬額を、その後に切り下げる行為を対象としています。名称が値引き、協賛金、手数料、協力金などどのような名目であっても、受託者に責任がない状況で当初の取り決めよりも支払額を減らす行為は同号の対象となり得ますが、名目のみを根拠に一律の個別判定が行われるものではなく、実質的な対価の減額に該当するかどうかが制度上着目されます。

本稿の記述は、2026年10月13日時点で確認したe-Gov法令検索のフリーランス・事業者間取引適正化等法第五条第一項第二号および公正取引委員会「フリーランス法Q&A」、2026年公正取引委員会フリーランス法特設サイトの現行本文に基づいています。

まとめ|事後的な報酬引き下げを制限する取引規律

報酬減額とは、一か月以上の業務委託において、フリーランス側の責めに帰すべき事由がないにもかかわらず発注時に決定した報酬を後から減らす行為を指します。契約成立時の価格決定を扱う買いたたきとは時点が明確に区別されており、合意された報酬額を保護するための重要な制度的枠組みとして位置づけられています。

報酬減額に関するよくある質問

買いたたきと報酬減額の違いは何ですか。

買いたたきは発注時に対価を決定する段階で著しく低い額を不当に定める行為であるのに対し、報酬減額は発注時にいったん定めた報酬額を後から引き下げる行為という点で適用される時間軸が異なります。

一か月未満の業務委託契約にも報酬減額の禁止は適用されますか。

法律第五条に規定される報酬減額の禁止は、政令で定める期間である一か月以上の業務委託を前提としているため、期間が一か月未満の短期取引には同条の禁止規定自体は適用されません。

報酬減額は名目が「値引き」以外でも該当しますか。

公正取引委員会は、協賛金の徴収など、名目・方法・金額にかかわらず、受託者に責めに帰すべき事由がない報酬の減額は禁止行為に当たり得ると説明しています。

2026年以降、振込手数料を報酬から差し引けますか。

2026年1月1日以降に発注した取引では、発注事業者が振込手数料を受託者に負担させて報酬から差し引くことは、事前の合意の有無にかかわらず報酬の減額に該当します。2025年12月31日以前の発注には別の経過措置があるため、対象時期を分けて確認する必要があります。

報酬減額は役務提供委託にも適用されますか。

報酬減額は役務提供委託にも適用されます。法第5条第1項は役務提供委託について受領拒否と返品を対象から除いていますが、報酬減額は除外していません。

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