国民健康保険とは?制度の仕組み・対象者・保険料をわかりやすく解説
日本に住むすべての人は、公的医療保険制度に加入することが義務づけられています。会社員や公務員は勤務先の「健康保険(社会保険)」に加入しますが、それ以外の人が加入するのが「国民健康保険(国保)」です。
フリーランスや自営業者、無職の方、高齢者など、多くの人にとって身近な制度でありながら、具体的な仕組みや保険料の計算方法を理解していない人も少なくありません。

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国民健康保険とは
国民健康保険(こくみんけんこうほけん、通称「国保」)は、日本に住む人が病気やケガをしたときに安心して医療を受けられるよう、市区町村や国民健康保険組合が運営する公的医療保険制度です。
「会社員や公務員が加入する健康保険(社会保険)」に対して、フリーランスや自営業者、無職の方など、勤務先の健康保険に加入していない人が対象になります。
加入者は所得や世帯構成に応じた保険料を支払い、その見返りとして医療機関を受診する際の窓口負担が軽減されます。通常、自己負担は原則3割に抑えられ、残りの7割を国民健康保険が負担します(未就学児や高齢者は2割、さらに75歳以上は後期高齢者医療制度に移行)。この仕組みにより、経済的な不安があっても必要な医療を受けやすくなっています。
国保は「社会全体で支え合う」という考え方に基づいており、加入者全員が保険料を出し合うことで財源を確保し、その資金から医療費が支払われます。これにより、高額な医療費が発生しても一人で負担する必要がなく、安心して治療を受けられる仕組みになっているのです。
また、国民健康保険は医療費の補助だけでなく、「高額療養費制度」や「出産育児一時金」「葬祭費」など、生活を支えるための給付制度も備えています。つまり、国保は単なる医療費補助にとどまらず、人生の節目や予期せぬ事態に対してもサポートを提供する、国民生活の基盤となる制度といえます。
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一方で、個人事業主やフリーランスは国民健康保険に加入するのが一般的ですが、会社員との社会保険の違いを理解しておくことも大切です。詳しくは 個人事業主の社会保険加入ルールと会社員との違い をご覧ください。
国民健康保険の対象者
次のような人は国民健康保険に加入する必要があります。
- 自営業者やフリーランス
- 会社を退職して勤務先の健康保険を脱退した人
- 学生やアルバイトで勤務先の社会保険に加入していない人
- 無職の人(定年後も含む)
- 農業・漁業従事者など
一方で、会社員や公務員、その扶養家族は勤務先の「健康保険」に加入しているため国保には加入しません。
保険料の仕組み
国民健康保険料は、次の要素で決まります。
- 所得割:前年の所得に応じて計算
- 均等割:加入者一人あたりにかかる負担
- 平等割:世帯ごとにかかる負担
- 資産割(一部の自治体のみ):所有する土地・建物などの固定資産税に応じて計算
保険料は自治体ごとに異なり、毎年見直されます。支払いは世帯主がまとめて行うのが原則です。
所得割・均等割・平等割・資産割をわかりやすく説明 | 税金・社会保障教育
国民健康保険のメリット
- 医療費の自己負担が軽減される:医療費の7割以上を保険でカバー。
- 高額療養費制度が利用できる:一定額を超えた医療費は払い戻しされる。
- 出産育児一時金や葬祭費などの給付がある。
- 誰でも加入できる:無職やフリーランスでも医療保障を受けられる。
国民健康保険の注意点
- 保険料が高額になりやすい:所得に応じて計算されるため、年収が高いと負担も大きい。
- 扶養制度がない:社会保険のように「扶養家族は保険料ゼロ」という仕組みがなく、家族全員分の保険料が必要。
- 滞納するとペナルティ:短期保険証の発行や給付制限などがあり、最悪の場合は医療費が全額自己負担になる。
まとめ
国民健康保険は、自営業者やフリーランス、無職の人など、勤務先の社会保険に加入していない人が安心して医療を受けられるように設けられた、日本の社会保障制度の要ともいえる仕組みです。病気やケガは誰にでも起こりうるリスクですが、国保に加入していれば医療費の大部分が保障され、自己負担を大きく軽減できるため、経済的な不安を抱えずに必要な治療を受けられる環境が整います。
一方で、国保の保険料は自治体ごとに異なり、さらに扶養という仕組みがないため家族全員分の保険料がかかります。そのため、世帯の人数や所得によっては負担が大きく感じられることもあります。しかし、自治体には保険料の「減免制度」や「分割納付」などの救済措置があり、生活状況に応じて支援を受けられるケースもあります。
重要なのは、国保を単なる義務としてではなく、「生活を守るための社会的なセーフティネット」として理解し、自分や家族のライフスタイルに合わせて活用することです。制度の仕組みや給付内容を正しく知ることで、もしものときにも安心して医療を受けられる備えになります。
