個人事業主は社会保険に加入できない?加入条件・例外・代替制度を徹底解説

会社員から独立したばかりの人が最初に戸惑うのが、「社会保険どうなるの?」という点です。結論からいえば、個人事業主本人は会社員のように社会保険(健康保険+厚生年金)に加入することはできません。
しかし、それは「無保険になる」という意味ではありません。ここでは、加入できない理由と、代わりに入るべき制度・注意点を詳しく解説します。
本記事では「加入できない理由」に焦点を当てています、国保・年金・任意継続など社会保険制度の全体像は個人事業主の社会保険まとめページで詳しく解説しています。

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個人事業主は“会社の社会保険”に加入できない理由
社会保険とは本来、企業と従業員の雇用関係を前提にした制度です。健康保険・厚生年金保険は「適用事業所」に雇用されている労働者が対象となるため、雇用主である個人事業主本人は原則加入できません。
加入可否 | 保険種別 | 対象者 |
---|---|---|
× | 健康保険(協会けんぽ・組合健保) | 雇用されている会社員 |
× | 厚生年金 | 会社員・公務員 |
〇 | 国民健康保険 | 自営業・フリーランス |
〇 | 国民年金 | すべての20歳以上60歳未満の国民 |
〇 | 介護保険(40歳~) | 国保加入者・被保険者 |
つまり、独立した瞬間に「会社経由の社会保険」から外れ、自分で公的保険に入り直す必要が生じます。
加入できない社会保険の代わりに入るべき3つの制度
個人事業主は以下の3つを基本として、自身で加入・管理します。
① 国民健康保険
市区町村が運営する医療保険制度。
病気やケガの際の医療費を3割負担で受けられます。前年の所得をもとに保険料が算出され、自治体によって差があります。
- 手続き:退職翌日から14日以内に市区町村で加入申請
- 負担軽減:所得が低い場合や子育て世帯には減免措置あり
② 国民年金
老後の基礎年金。厚生年金と違い、全国一律の定額制(令和7年度:月額17,510円)。付加年金や国民年金基金、小規模企業共済などで上乗せが可能です。
③ 介護保険(40歳以上)
40歳になると自動的に介護保険料が国保と一緒に徴収されます。
要介護時のデイサービスや施設利用が対象。
任意継続や家族の扶養という「例外ルート」もある
● 任意継続被保険者制度
退職前に加入していた健康保険を、最長2年間だけ個人で継続できる制度です。保険料は会社負担分がなくなるため、実質2倍前後に跳ね上がる点に注意。ただし所得が高い人や扶養家族が多い人にとっては、国保より安くなるケースもあります。
手続き期限:退職日の翌日から20日以内
● 家族(配偶者)の扶養に入る
配偶者が会社員などで社会保険に加入している場合、自分の年収が130万円未満(条件によって106万円未満)であれば、その扶養に入れる可能性があります。保険料がゼロになる大きなメリットがある一方、収入が増えると即座に扶養から外れる点には注意が必要です。
従業員を雇った場合の「社会保険義務化」ライン
個人事業主本人は加入できませんが、従業員を常時5人以上雇用した場合は、その事業所が「適用事業所」となり、社会保険(健康保険・厚生年金)の加入が義務化されます。ただし、サービス業・農林漁業など一部業種は除外されるため、該当業種かどうかは日本年金機構の基準を確認しましょう。
社会保険に入れない=不利とは限らない
社会保険には会社負担がある一方で、保険料も高額です。個人事業主は「自分の所得に応じた負担」に切り替わるため、一定の柔軟性があります。
また、国保・国民年金でも所得控除の対象となり、節税効果は維持されます。加えて、小規模企業共済やiDeCoなど「上乗せ制度」を活用すれば、老後対策も十分可能です。
小規模企業共済とは | 共済制度 | 独立行政法人 中小企業基盤整備機構
iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】
まとめ|加入できないのではなく「自分で選ぶ」
個人事業主は会社の社会保険には加入できません。しかし、自分で選べる「国保」「国民年金」「国保組合」「任意継続」「扶養」など複数の制度が存在します。
独立後は“自分で社会保険を設計する”という意識が大切です。特に、14日・20日の期限を逃さず手続きを行うことなど見逃すと後で損するポイントが増えます。
ここら辺を理解し、最善の手を打つことが最初の1年を安定させる大きな分かれ道になります。
