軽貨物ドライバーの陥りやすいポイント「個人事業主を辞めるきっかけになるかも」

思っていたより稼げない…その理由とは?
近年、「自分のペースで働ける」「高収入が目指せる」として人気を集めている軽貨物ドライバー。副業として始める人もいれば、思い切って独立・開業する人も増えています。
しかしその一方で、
「想像していたほど稼げない」
「思った以上に体力的にきつい」
「責任が重くて不安」
と感じ、途中で辞めてしまう人も少なくありません。
SNSや求人サイトでは “月収80万円以上可能!” “未経験から高収入!” といった魅力的な言葉が並びます。
確かに、努力次第で高収入を実現できる世界ではあります。ですが、その「努力」の中身を理解していないまま飛び込んでしまうと、現実とのギャップに苦しむことになります。
この記事では、軽貨物ドライバーとして働くうえで多くの人がぶつかる「壁」や「落とし穴」を整理しながら、どんな心構えと準備があれば、長く安定して続けられるのかを解説します。
軽貨物業界の実情を知り、これから始める方・続ける方が後悔しないようにするための参考にしてください。

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高収入の壁
軽貨物ドライバーとして働く人の中には、数か月で「思っていたより稼げない」と感じて辞めてしまう方も少なくありません。
原因の多くは、長時間の拘束や業務のハードさ、そして想定していた収入とのギャップにあります。
求人広告やSNSでは「月収70万円以上も可能!」「頑張り次第で高収入!」といった言葉をよく目にします。それ自体は間違いではありません。
しかし、“誰でも簡単に”という意味ではなく、仕組みを理解し、計画的に努力を積み重ねた人だけがそのステージに到達できるということを知っておく必要があります。
実際、稼いでいるドライバーは、例外なく次のような共通点を持っています。
- 仕事の流れ(積み込み・ルート・納品の効率)を常に見直している
- 単価や案件内容を比較し、自分に合った働き方を選んでいる
- 体力や健康を維持するために、生活リズムを整えている
つまり、“長く働けば稼げる”わけではありません。
限られた時間の中でどれだけ効率よく動けるか、どれだけ継続できる体を作れるか。この2点こそが、収入の差を生み出す最大の要因です。
一方で、「モチベーションがそれほど高くない人」でも、ある程度の収入は得られます。しかし、“高収入”という領域に踏み込むには、単なる労働量ではなく“戦略的な働き方”が必要です。
たとえば、配達ルートをアプリで最適化したり、積み込み順を変えるだけでも作業効率が数十%変わることもあります。また、繁忙期や特定エリアの需要を見極め、案件を選択する力も大切です。
これは単なる「根性」や「気合い」ではなく、数字と戦略で収入を上げる“経営者的な視点”です。
結局のところ、軽貨物ドライバーは“運転の仕事”ではなく、“自分という事業を運営する仕事”。努力を惜しまず、考えながら動く人こそが、安定した高収入を実現しています。
体力が必要
軽貨物ドライバーの仕事は、一見すると「軽い荷物を運ぶだけ」と思われがちです。しかし実際には、お米の袋やウォーターサーバーのボトル、コピー用紙の箱など、見た目以上に重量のある荷物を扱う場面が少なくありません。
特にエレベーターのない集合住宅や、細い階段しかない古い建物では、階段を何往復もして配達することもあります。夏場の猛暑や冬の寒さの中での作業は、想像以上に体力を消耗します。
「軽貨物」とはあくまで車両の区分(軽自動車を使う運送形態)を指しており、荷物が軽いという意味ではありません。この誤解が、最初の“壁”となって立ちはだかるケースも多いのです。
とはいえ、すべての案件が重労働というわけではありません。比較的軽い荷物を扱う仕事もありますが、その分件数が多くなったり、単価が低めに設定されていたりします。つまり、「重い荷物を少なく運ぶか」「軽い荷物を多く運ぶか」、どちらにしても体力を使う仕事であることに変わりはありません。
このため、軽貨物ドライバーには“筋力”だけでなく、持久力とリズム感のある体の使い方が求められます。荷物を持ち上げる姿勢や動作を誤ると、腰や肩を痛める原因にもなるため、日常的に軽いストレッチや筋トレで体を整えておくことが理想的です。
また、体力の消耗を防ぐためには、食事と睡眠の管理も欠かせません。バランスの取れた食事と、しっかりとした休息を取ることで、日々の業務を安定してこなすことができます。
軽貨物ドライバーという仕事は、まさに“体が資本”です。しかしその一方で、体を鍛え、仕事のリズムをつかめば、他の職種では味わえない達成感と充実感を得られる仕事でもあります。
体力は最初のハードルでありながら、慣れと工夫次第で最強の武器にもなります。
責任
軽貨物ドライバーとして個人事業主の立場で働く以上、自由と同じだけ「責任」も背負うことになります。この責任をどこまで理解し、日々の業務でどう向き合うかによって、長く安定して続けられるかどうかが決まると言っても過言ではありません。
まず大前提として、すべての成果もリスクも自分に返ってくるという点を意識する必要があります。何らかのトラブルが発生した場合、最悪のケースでは契約の解除に至ることもあります。これは自分のミスに限らず、相手企業の経営方針や取引条件の変更によって起こることもあるため、まさに“自己責任の世界”といえます。
さらに、配送業務では「荷物を預かる=信用を預かる」という意味があります。万が一、荷物を破損・紛失してしまった場合は、損害賠償責任を負う可能性があります。
また、仕事で使用する車両を事故で損傷した場合には、その修理費や代車手配もすべて自己負担です。このように、個人事業主は「雇われ」ではなく「請け負う」立場であるため、あらゆるトラブルを自らの判断で解決していかなければなりません。
一見すると厳しく聞こえますが、リスクを理解し、備える力こそが“経営者マインド”です。損害保険や貨物保険への加入、契約書の内容確認、車両メンテナンスの徹底など、リスクを最小化する方法はいくつもあります。
こうした対策を事前に行うことで、トラブルに強く、信頼されるドライバーへと成長していけるのです。
また、個人事業主としての「責任感」は、そのまま顧客からの信頼につながります。「この人になら任せたい」と思われるようになると、安定した取引や紹介案件など、自然と仕事の幅が広がっていきます。
軽貨物ドライバーという働き方は、言い換えれば“ひとりの事業主”です。責任を背負う覚悟がある人ほど、結果として自由度の高い働き方と高収入を得られる環境を自ら築くことができます。
あくまで、あなたは「ひとりのドライバー」ではなく、ひとつの事業を運営する経営者。その自覚を持って日々の仕事に取り組むことが、長く活躍し続けるための第一歩です。
経費、税金は自分負担
個人事業主として働くということは、「稼ぐ」だけでなく「管理する」ことも仕事のうちです。ドライバーとして日々走っていると、ガソリン代・オイル交換・タイヤの摩耗・車検・任意保険など、意外と見えない出費が積み重なります。
さらに、駐車料金、通信費、仕事用の文具やスマートフォンの充電器といった細かい雑費も立派な経費として扱われます。
つまり、仕事に関係する支出のほとんどを自分で把握し、記録・管理しなければならないということです。会社員であれば経理部がやってくれることを、個人事業主はすべて自分で行う必要があります。領収書の保管、支出の仕訳、確定申告に向けたデータ整理、これらが日々の習慣になることが、安定経営への第一歩です。
税金の管理は「後回しにしない」
毎月の収入の中から一定額を「納税用口座」に分けておくのが基本です。確定申告の時期に慌てないよう、年間を通じて税金を見越した資金管理を心がけましょう。
また、税金の計算は「収入−経費=所得」ですが、経費の把握が不十分だと、本来より多くの税金を払ってしまうケースもあります。面倒に感じる方は、クラウド会計ソフト(freee・マネーフォワードなど)を使うと、スマホからでも簡単に記帳できます。
インボイス制度への対応
2023年10月からスタートしたインボイス制度は、軽貨物ドライバーにも大きく関係します。これまで“免税事業者”として消費税を納める必要がなかった人でも、取引先から「登録してほしい」と求められるケースが増えています。登録をすれば消費税の処理が必要になりますが、登録しないと契約条件が不利になる場合もあります。
つまり、「自分にとって登録した方が得か損か」を冷静に判断する必要があります。
令和5年10月からインボイス制度が開始! 事業者間でやり取りされる「消費税」が記載された請求書等の制度です | 政府広報オンライン
社会保険・年金も自己管理
会社員時代は自動的に給与から控除されていた健康保険や年金も、個人事業主になるとすべて自己申請・自己負担です。健康保険は「国民健康保険」、年金は「国民年金」が基本となり、手続きは市区町村の窓口で行います。
この手続きを怠ると、病気やけがのときに医療費が全額自己負担になるなど、生活に直結するトラブルを招きます。将来のためにも、早めに制度を理解し、支払いを滞らせないことが重要です。
「自由」と「自己管理」はセット
個人事業主は自由な働き方ができる反面、すべてを自分で管理する責任があります。経費・税金・保険をしっかり把握できるようになれば、「経営者としての安定感」が生まれ、仕事への自信も格段に高まります。
つまり、「お金の管理ができる人=長く稼げる人」。軽貨物ドライバーとして成功するためには、運転技術と同じくらい、数字を見る力と計画性が大切なのです。
軽貨物ドライバーの陥りやすいポイントまとめ
軽貨物ドライバーとして働く上で、最も忘れてはいけないことは、「個人事業主は、雇用されているわけではない」という点です。
つまり、あなたは“社員”ではなく、“事業主”。
自分の仕事は自分で作り、守り、成長させていく必要があります。
たとえ体調を崩しても、有給休暇はありません。配達件数が減れば、その分だけ収入も減ります。もちろん、サポート制度や補助金などを活用することで一時的に支えられることはありますが、最終的な責任は常に自分自身にあるということを、常に意識しておくことが大切です。
しかし、これは裏を返せば「自分の努力次第で未来を変えられる仕事」でもあります。たとえば、仕事の質を上げる・信頼を積み重ねる・時間管理を徹底する、こうした小さな努力の積み重ねが、やがて安定した高収入や自由な働き方につながります。
最近では、動画編集やSNS運用代行など、個人で働くスタイルが広がっていますが、軽貨物ドライバーもまさに同じです。最初のうちは収入が安定せず、思うようにいかない時期が続くかもしれません。しかし、“見習い期間”をどう乗り越えるかが、その後の成功を決めます。
どんな業種でも、「継続できる人」こそが結果を出す人です。焦らず、一歩ずつ積み重ねていけば、確実に成長を実感できる瞬間が訪れます。
軽貨物ドライバーという仕事は、決して楽ではありません。けれども、自分の力で道を切り開けるやりがいがあり、努力がそのまま結果に反映される職業です。自分のペースで働きたい方、成果で評価されたい方にとっては、これ以上に向いている仕事はないかもしれません。
「努力は必ず報われる」軽貨物ドライバーの世界でも、それは変わりません。
自分の力を信じて、前へ進みましょう。
頑張りましょう!
