【個人事業主】初めての確定申告!やり方と経費で抑えるべきポイント

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個人事業主として独立すると、自分の裁量で働ける自由があります。時間の使い方や仕事の選び方を自分で決められるのは、大きな魅力です。しかしその一方で、会社員時代には意識しなかった「税務の責任」がすべて自分にのしかかってきます。

特に重要なのが「確定申告」。これは、1年間の所得や経費をまとめて国へ報告し、納めるべき税金を確定させるための個人事業主に課せられた義務です。

税金の計算や書類の整理など、慣れないうちは大変に感じるかもしれませんが、正しく理解して対応すれば決して難しいものではありません。

この記事では、個人事業主が押さえておくべき確定申告の基本とそのポイントをわかりやすく解説します。初めての方でもスムーズに申告を進められるよう、必要な準備から提出までの流れを具体的に紹介していきます。

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作成者
眞中 秀和
監修者

目次

確定申告について

個人事業主として活動する場合、収入と経費の管理はすべて自分の責任になります。1年間の取引を正確に記録し、その結果をもとに税金を計算・申告・納付する、これが「確定申告」です。

会社員であれば年末調整で完結していた部分を、自分で行うことになるため、少し複雑に感じるかもしれません。しかし、手順を理解すれば決して難しくはありません。むしろ、自分の経営状態を“見える化”できる重要な機会です。

確定申告の基本手順

  1. 収入の計算
    1年間に得たすべての収入を集計します。請求書や振込記録など、仕事で得た金額を漏れなく把握しましょう。
  2. 経費の計算
    仕事のために使った費用(経費)を収入から差し引きます。例えば、通信費・交通費・事務用品費・業務委託費など、事業と直接関係する支出が対象です。
  3. 税金の計算
    「収入 − 経費 = 所得」となり、この所得に応じて所得税が計算されます。控除(基礎控除・青色申告特別控除など)を活用することで、納める税金を減らすことも可能です。
  4. 申告書の作成・提出
    国税庁の「e-Tax」や会計ソフトを使って申告書を作成し、税務署へ提出します。期限は原則として毎年2月16日~3月15日です。

必要な書類の例

  • 請求書・入金記録:1年間の売上を証明する書類
  • 領収書・レシート:経費を裏付ける証拠として保管(5年間保存義務あり)
  • 銀行の取引明細:入出金を確認し、記帳漏れを防ぐ
  • その他の証明書類:保険料控除証明書、マイナンバーカードなど

税務の基本ポイント

  • 全ての収入を申告すること
    副業やスポット案件なども含め、入金があれば全て申告対象です。
  • 経費は「実際に事業で使ったもの」に限定
    プライベートと業務の区別を明確にし、根拠を持って記録しましょう。
  • 税制や控除制度を理解すること
    青色申告特別控除や小規模企業共済、iDeCoなど、個人事業主に有利な制度を活用することで、節税効果を高められます。

日々の記録が未来の節税につながる

日常的に取引を記録し、領収書を整理することが確定申告をスムーズに進める最大のポイントです。領収書を溜め込んでしまうと、後から経費の抜け漏れやミスが起きやすくなります。

特に、ガソリン代・通信費・仕入れ関連のレシートは忘れがちなので、日々のうちにデータ化またはファイル整理しておきましょう。

「面倒だから後でまとめてやる」は、結果的に最も時間を取られる方法です。日々の積み重ねが、年度末のストレス軽減と節税につながります。

所得税の確定申告|国税庁

デジタル化も考える

確定申告では、請求書・領収書・契約書・銀行明細など、さまざまな書類を保管・整理する必要があります。紙のまま保管しておくと、年度末に探し回ったり、紛失してしまうことも少なくありません。こうした煩雑さを減らすために、デジタル化による記録管理を検討してみましょう。

パソコンやスマートフォンを使ってデータを整理すれば、時間も手間も大幅に削減できます。最近では、個人事業主でも簡単に使える会計ソフトやアプリが充実しており、専門知識がなくても始めやすい環境が整っています。

記録管理を効率化する3つの方法

① 書類のデジタル化
紙の領収書や契約書は、スキャナーやスマホのカメラで撮影し、PDFや画像データとして保存しましょう。クラウドストレージ(Google Drive・Dropboxなど)を使えば、どこからでも確認でき、紛失リスクも軽減されます。

② 会計ソフトの活用
freee、マネーフォワードクラウド、弥生会計オンラインなどの会計ソフトを使うことで、収入・経費・口座の動きを自動で整理できます。銀行口座やクレジットカードを連携させておくと、入出金データを自動取得できるため、手作業での記帳作業が不要になります。

③ 定期的な記録更新
1年分をまとめて処理するのではなく、月ごとや四半期ごとに経理を整理する習慣を持ちましょう。これにより、確定申告時の作業量が大幅に減り、内容の正確性も高まります。

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デジタルツールを使うメリット

  • 時間の節約:紙の整理や手書き計算が不要になり、業務時間を本業に集中できます。
  • 計算ミスの防止:自動集計・自動計算機能により、人為的なミスを大幅に減らせます。
  • アクセスのしやすさ:データをクラウドで管理すれば、外出先からでも確認・修正が可能。
  • データの蓄積と分析:年間の収支データをグラフ化し、経営判断に活用できます。

無理なく始めるデジタル化のコツ

最初からすべてを電子化しようとすると、かえって続かなくなります。まずは「領収書のスキャン」や「会計ソフトへの入力」など、一部だけでもデジタルに切り替えることからスタートしてみましょう。慣れてくると、確定申告の準備そのものが格段にラクになります。

このように、デジタル化を取り入れることで、確定申告の負担を軽くしつつ、データ管理の精度も向上します。

“面倒な経理作業を効率化すること”は、個人事業主としての成長と安定経営への第一歩です。

確定申告の手順

確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの所得をまとめ、翌年の2月16日〜3月15日の間に税務署へ申告・納税する手続きです。個人事業主にとっては“1年間の成果報告”のようなものであり、正確さと効率の両立が重要になります。

下記の流れを理解しておけば、申告時期に慌てることなく、スムーズに対応できるようになります。

① 申告の準備

まずは1年間の収入や支出に関する書類を整理します。確定申告の作業の7割は「準備」で決まると言われるほど、この段階が最も大切です。

  • 書類収集:請求書、領収書、銀行明細、レシート、控除証明書など、必要書類をすべて集めます。
  • 収支の確認:年間の収入と経費を整理し、帳簿(収支内訳書や仕訳帳)に記録します。
  • 控除証明の準備:生命保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済などの証明書も忘れずに。

ポイント
「年明けにまとめて整理しよう」ではなく、月ごと・四半期ごとに処理しておくと圧倒的に楽になります。

② 申告書の作成

国税庁のサイトや会計ソフトを利用して、必要な情報を入力します。

  • フォーム選択:青色申告か白色申告か、自分の申告区分を選びます。(青色申告は手間はかかりますが、最大65万円の特別控除が受けられるメリットがあります。)
  • 情報入力:収入・経費・控除額などを記入。
  • 計算確認:自動計算ツールでも、最終チェックは必ず自分の目で行いましょう。

会計ソフトの活用
freee や マネーフォワードクラウドを使うと、銀行口座やクレジットカード明細を自動で読み込み、計算を自動化できます。

③ 提出と納付

  • 提出方法
    ① 税務署へ持参/郵送
    ② オンライン申告(e-Tax)
    ※電子申告は控除額が増えるケースもあり、おすすめです。
  • 納付方法
    銀行、クレジットカード、または口座振替などで支払えます。延納制度(分割払い)を利用することも可能です。

注意点
期限を過ぎると「無申告加算税」「延滞税」が発生するため、期限内提出が絶対条件です。

④ 書類の整理・保管

確定申告に使用した書類や帳簿は、5年間の保管義務があります。青色申告をしている場合は7年間となります。

  • 紙の書類はファイル整理
  • 領収書や請求書はスキャンしてデジタル保管
  • クラウドストレージにバックアップを取る

後で見返せるように分類を明確に
「月別」または「経費項目別」にフォルダ分けしておくと、税務調査が入った場合でもすぐに対応できます。

⑤ ミスを防ぐためのコツ

申告シーズン(2〜3月)になってから慌てて準備を始めると、「あの領収書どこに置いたっけ?」と探す時間だけで何時間も無駄にしてしまいます。

大切なのは、“記憶が新しいうちに処理する”習慣を持つこと。1〜2か月ごとに収支を整理しておけば、書類探しや入力ミスを最小限に抑えられます。


このように、確定申告は「まとめて一気にやる作業」ではなく、年間を通じた積み重ねの結果です。早めの準備とデジタル管理を意識することで、税務の負担を大幅に減らすことができます。記憶な新鮮なうちに処理をすることでミスも減り、効率も良くなります。

誤った確定申告を避ける

確定申告は、個人事業主として避けて通れない大切な義務です。しかし、少しのミスや確認漏れが追徴課税・延滞税・加算税などのリスクにつながることがあります。正確な申告を行うためには、普段からの管理と慎重な確認が欠かせません。

よくある申告ミスの例

■ 収入の見落とし

複数の取引先やプラットフォームを利用していると、一部の入金記録を申告から漏らしてしまうことがあります。とくに「副業」「単発案件」「ポイント還元などの収入」も課税対象になる場合があるため注意が必要です。

■ 不正確な経費計上

経費は、事業に直接関係した支出のみが対象です。プライベートと業務が混在する支出(例:自家用車・自宅兼事務所の光熱費など)は、合理的な按分計算を行う必要があります。曖昧な経費計上は、税務調査で指摘されるケースも多いです。

■ 計算ミスや転記ミス

手作業での集計や電卓入力で起こりやすいのがこのパターン。会計ソフトを使えば自動で計算してくれますが、最終確認は必ず自分の目で行うことが大切です。

ミスを防ぐための対策

丁寧な記録と確認

領収書・請求書・入金明細など、日々の取引を正確に記録し、定期的に確認する習慣をつけましょう。帳簿は「毎月更新」が理想です。

期限の遵守

申告期限(原則3月15日)を過ぎると、延滞税や加算税が課されます。e-Taxを使えばオンラインで夜間でも提出できるため、早めの準備が最大のリスク回避策になります。

定期的な見直し

年の途中でも、収支バランスを確認することで納税額の目安が分かります。これにより、資金繰りの見通しも立てやすくなります。

税務専門家の活用

「これで合っているのか不安…」という場合は、税理士や会計の専門家に相談するのが最も確実です。税法は毎年のように改正されるため、独学では見落としやすいポイントも多く存在します。

専門家に依頼することで、以下のようなメリットがあります。

  • 控除の漏れを防げる
  • 節税のアドバイスを受けられる
  • 税務調査への備えができる
  • 手間や不安を大幅に減らせる

特に初年度は、一度税理士にチェックしてもらうだけでも大きな安心感が得られます。


確定申告の基本は「正確さ」と「誠実さ」です。わからない点を曖昧にせず、疑問があれば専門家や税務署に相談しましょう。「分からないことは、専門家に聞く」それが最もシンプルで、最も確実な方法です。

個人事業主の確定申告まとめ

確定申告は、すべての個人事業主にとって避けて通れない重要な手続きです。「なんだか難しそう…」「どこから手をつけていいかわからない」という声も多いですが、実際には手順を理解し、準備を整えるだけで驚くほどスムーズに進められます。

はじめのうちは戸惑うこともありますが、毎年繰り返すうちに、帳簿づけや書類整理のコツがつかめてきます。一度流れをつかめば、次の年からは作業時間も短縮され、申告の精度も上がります。

確定申告を正しく行うことは、単なる“義務”ではなく、自分の事業を見直す絶好のチャンスでもあります。1年間の収支を整理することで、無駄な支出や節税の余地を発見でき、経営判断の精度を高めることができるのです。

確定申告を成功させる3つのポイント

  1. 日々の記録を怠らないこと
    領収書や請求書をため込まず、こまめに整理・入力しましょう。
  2. デジタルツールを活用すること
    会計ソフトやクラウドサービスを使えば、経理作業の効率が格段にアップします。
  3. 不安なときは専門家に相談すること
    税理士への相談はコストではなく「安心への投資」です。

確定申告を正しく、そして効率的に行うことは、個人事業主としての信頼性を高める第一歩。準備を怠らず、正しい知識とツールを味方につければ、税務の不安は確実に減っていきます。

最初の一歩を踏み出せば、次からはきっと「思っていたより簡単だった」と感じられるはずです。焦らず、確実に。正しい申告で、安心して新しい年度を迎えましょう。


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